【試乗記】ランドクルーザー70 ZX(Vinatage Club by KINTO)

2024-06-20

ランドクルーザー70 ZX(1995年式); 今でも現役の“伝説的オフロードビークル”・・・偉大なる存在。 “70の原点”の姿・乗り味を感じ取ってもらいたい。

著者:ハマやん
クルマ大好き、元トヨタの企画マン。公私合わせて1,800台以上のクルマに試乗。

KINTOの“旧車”プロジェクト『Vintage Club』で初めてのクロカン車、“ランクル70”。 ランドクルーザーのふるさとである「トヨタ車体」が企画運営する「ランクルBASE」によってカスタマイズされたクルマです。 1984年に登場した『ランドクルーザー70』は、それまで24年間の歴史を持つ“40系”後継車として登場。国内では販売の中止⇔再販といった事もあったものの、海外では一貫して『ヘビーデューティに耐えるオフロードビークル』として愛し続けられ、今でも現役を続けている超ロングセラーモデルです。今回カスタマイズした個体は、生産から約30年経過し、走行距離は19.6万キロを越えたクルマですが、現代の路上でも、“70らしい走り・乗り味”で問題なく走行してくれました。

①“今”と(殆ど)変わらない外観・内装。機能の裏打ちあるグッドデザイン

40年のロングセラーであるランクル70は、それゆえに発売当初と基本的には変わらない外観スタイル・内装デザインのクルマです。 外観は、“ランクル70そのものの価値を語る”ヘビーデューティなオフロード車らしさに溢れており、独特の存在感と魅力を感じます。類型的な乗用車ベースSUVがあふれる中では、それらとは違う用途・カタチにより、ひときわ目立ち、かつ個性を主張しているように映ります。(Jeep Wrangler等と同じ) 内装デザインも機能に立脚したもので、ヘビーデューティなオフロード車として必要な操作系を中心に、機能の裏付けある仕事場然とした運転席回り・室内空間となっており、内外装ともに機能の裏付けある“グッドデザイン”だと思います。

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②時代を感じさせるディーゼルらしい音・振動。少し慣れが必要な走行

4163ccの6気筒ディーゼル“1HZ”エンジンによる性能や走り味は、このクルマの生まれた30年前のそれを思わせてくれるものでした。直列6気筒エンジンとはいえ、ノイズ・バイブレーションは一般的な乗用車系のそれとは異なり、それなりのレベルで運転席・室内に伝わってきます。 また、1速の減速比が低く2速以上と少し離れた5速マニュアルトランスミッション を操作しての運転は、発進してすぐに2速へとシフトアップさせスムーズに走行させるなど、少し慣れが必要だと思います。 しかし、そうした特有の点に慣れてしまえば、現代の街中で走行することも特に問題はなく、普通に街中・郊外路を走行することができました。

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③ステアリングと車両の挙動も独特で、クルマに合った運転が望ましい。 サスペンションの働きを実感できる乗心地も独特

パワートレーン以外では、ステアリングと車両の挙動が独特で、少し慣れが必要かと思いました。具体的には、ステアリングを操舵してから“ワンテンポ遅れて”クルマが曲がる感じがあって、そのために切り始めのタイミングを速めた方がスムーズに運転できるからです。 背の高い寸法から想像するほど、ロールは大きくありませんが、またワンテンポ遅れてもシッカリ曲がるのですが、“70スタイル”の運転が必要だなと思いました。 乗心地についても、オフロード車として独特のものがあり、前/後リーフリジットサスペンションによる、“信頼感溢れるも、揺れは伝わってくる乗り味”で、脚の働きとタイヤの空気を実感しながらの運転という感じがしました。 基本的には路面状況を伝えてくる脚ですが、大きめの凸凹は顕著に伝わるが、マンホールの乗越えは伝わってこない点がちょっと不思議な感覚でした。

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④快適装備は最少だが、一応の使用には困らない仕様装備

30年前のクルマなので、副変速機などオフロード走行のための仕様装備を除けば、快適装備はエアコン・パワーステアリング・パワーウィンドウ・電動ドアミラー程度ですが、普通に安全・快適に走行するための装備は揃っており、知っている路を普通に走る分には不自由はありませんでした。また、カスタマイズとして装着されている“BRIDE”のシートのおかげで、乗り易く・快適に走行することができました。

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▽超ロングセラーを誇る偉大なる“伝説的オフロードビークル”。その原点の姿や乗り味を感じ取ってみたい人にはお勧めのVintageカー

ランドクルーザー70は、いうまでもなく超ロングセラーを誇る偉大なる“伝説的オフロードビークル”で、数々の伝説を生みながら現代も生き続けている“名車”です。 最新の70に乗った経験はありませんが、初期の70と今の70では、共通点も多数あるが変化点もあると思います。今も現役たる偉大なる『ランクル70』。その原点に近い姿や乗り味を感じてみたい人には、お勧めしたいクルマだと思います。

▽(取扱いに特別な点もあるため)、やっぱり“70好き”・“オフローダー好き”のハマるクルマであって、普通のユーザーにはなかなか理解できないかもしれない。

上記したように、この『ランクル70』に乗るには、少しの慣れが必要だと思います。 オフロード車特有の乗心地はともかく、ワンテンポずれる操舵感覚やローギアード1速を使いこなすシフトワークといった事は、なかなか普通の人には理解できないかもしれません。 そういう意味では、このクルマ、やはり“70好き”・“オフロード好き”のハマるクルマなのかもしれません。

▽とはいえ、スポーティなVintageカーを志向する人や普通のクルマのユーザーにも是非経験してほしい世界ではある。(ある意味スポーティな走行)

運転に少し特有の部分があり、慣れが必要と記しましたが、それも、ある意味“スポーティな走行”と解釈することもできそうです。 ステアリングワークやシフトチェンジワークに神経を使う・・・というのは、スポーティ車でのスポーツ走行に相通じるところがあるからです。 『Vintage Club』のラインアップ車両としてレンタカー運用される予定ですが、出来れば、“70好き”・“オフロード好き”だけでなく、スポーティ車など普通のVintageカーを志向する人やオフロード車に慣れない人にも経験してほしいなあ・・・。 この偉大なる存在を前にして思った事でした。

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〔車両〕 1995年式・トヨタランドクルーザー70 ZX・走行196,800km 〔参考:主要諸元〕 全長x全幅x全高・WB・車重;4805mmx1790mmx2040mm・2730mm・2200kg 1HZエンジン;4163CC,135PS/4000rpm,29.0kg・m/2200rpm(JISグロス値) サスペンション前/後;リーフリジット,タイヤ;LT285/75R16 〔カスタマイズ・整備〕 トヨタ車体(ランクルBASE),新明工業株式会社 〔試乗〕 2024年4月16日、豊田市内、約30km走行 以上

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