【試乗記】AE86 G16E Concept(Vinatage Club by KINTO)

2024-09-24

【旧車試乗レポート】 AE86 G16E Concept; 『エンジンコンバージョンで“蘇るハチロク”』・『ハチロクを今後も残していくための有効な方策』

著者:ハマやん
クルマ大好き、元トヨタの企画マン。公私合わせて1,800台以上のクルマに試乗。

軽量FRスポーツ車として今も大切に乗られている個体が多いAE86=“ハチロク”ですが、乗り続けていくためには心臓部たるエンジン=“4A-G”のコンディションが重要な要素で、調子よく保つのに苦労されている方も多いと言われています。 そんな背景から企画されたのが、4A-Gを最新の1.6LであるG16Eに換装した“エンジンコンバージョン”車両=“AE86 G16E Concept”ですが、一般への試乗プログラム開始に先立って公道試乗が許されましたので、東京湾岸地区で乗ってみました。 〔車両概要〕 AE86 G16E Concept 〔参考:オリジナル“AE86”の主要諸元〕 全長x全幅x全高・WB・車重;4215mmx1625mmx1335mm・2400mm・940kg 4A-GEUエンジン;1580CC,130PS/6600rpm(グロス値),15.2kgm/5200rpm,5MT サスペンション前/後;ストラット/5リンクリジット タイヤ;185/60R14 〔エンジンコンバージョン等の改造〕 トヨタ自動車株式会社

① 扱い易く伸びも良いG16Eエンジン。どこでも走り易い動力性能。ハチロクに新しい魅力

“コンバージョンした“G16Eエンジン”による走りがどうか?・・・”が、このクルマ最大の焦点ですが、最新のスポーツエンジンらしく、低速から充分なトルクを発揮し、中速~上の伸びも良く、今の時代の“ハチロク”に見合ったものになっていると思いました。 1000rpm台で充分なトルクを発生しているため、停止からの発進・加速や、信号待ちのノロノロ運転等でもストレスなく走る事ができ、東京都内の交通量の多い場所でも比較的ラクに走行可能で、意外と気を遣わない街中ドライビングという感じでした。 2000rpm台から上は、アクセル操作により気持ちよく伸び加速するため、周囲の交通を置いていく事は容易で、特に2速・3速での加速が気持ちよく感じられました。 ご存じのように“G16Eエンジン”は3気筒で、GRヤリス/GRカローラにはターボ付きのものが搭載されていますが、この“ハチロク”にコンバージョンされたのはターボ無しの仕様です。“3気筒感が多く出ていたら嫌だなあ”と事前に思っていましたが、サウンドやバイブレーション等、皆無ではないものの、ほぼ“3気筒感”を意識する事なく試乗できました。 クルマ全体として、心臓部であるエンジンが新しくなっている事は大きな変化で、G16E搭載によって、“ハチロク”に新しい魅力が付加されたようにも感じられました。

② “ハチロク”の軽快な走りに少し重厚に厚みを持たせたような走り味

この日の試乗は東京の湾岸地区で、芝浦からレインボーブリッジを通ってお台場、ゲートブリッジも渡って若洲海浜公園の駐車場で戻ってくる全行程約40kmの走行でしたが、試乗を通して“一味違うハチロクに乗っていた”感覚がありました。 運転席からの視界や見え方、ステアリングの重さ等は、記憶にあるオリジナル“ハチロク”同様でしたが、一方、パワートレーンのトルクの厚みや少し重厚にチューニングされた?(詳細不明)感じの乗心地等は、一味違う風に感じた面でした。 特にオリジナルエンジン4A-Gとの違いが顕著と思われた常用回転域(2000~4000rpm)でのトルクの厚みが影響していると思ったのですが、走り味が少し重厚に・厚みあるものになっていると感じました。 “走り味”全体として、“ハチロク”の軽快さを保ちつつ、少し重厚に厚みを持たせた感じのクルマだと思いました。

③ ノンパワステのため駐車時のステアリング操作は大変だが、それ以外は普通に乗れるクルマ。乗心地も柔らかくはないが街中でも充分といえるレベル

ヴィンテージ車が現代の交通の中で安心して余裕持って走れるためには、エンジン・パワートレーンだけでなく、ステアリングやブレーキ操作に対するクルマの反応や乗心地の面も大きな要素となってきますが、そうした面でも、この“ハチロクG16Eエンジン車”は、まずまずの適合性を持っていると感じました。 オリジナルの“ハチロク;GTVグレード”同様、ノンパワーのままとされたステアリングは、正直、駐車時等は操作が大変ですが、少し速度が出ていれば普通に回せ、街中の交差点右左折等は普通に走れました。 乗心地に関しては、路面の凸凹や不整に対して、柔らかくはないが、しっかり衝撃を吸収し安定して走行できるクルマで、換装された出来の良いスポーツシートのおかげもあり、快適に試乗することができました。

④ “少しチューンしてある感じ”の外観スタイルとインテリア

“AE86 G16E Concept”の外観は、見慣れたAE86(3ドアクーペTRUENO)そのもので、少し低い車高とホイール・マフラー・エアロパーツ装着により、“少しチューンしてある感じ”が出ていると感じました。 左右ドアに大きく記された“G16Eエンジン車(実験用)”の表示や、オリジナルはGTV TWIN CAM16のところをGTV TWIN CAM G16Eと表現されているグレード表示等、メーカーによるコンバージョン車らしい表現でこのクルマの出自を語っています。 室内に関しても、オリジナルハチロクを活かしたもので特筆すべき点はありませんが、バケットシートやナルディステアリング装着により、“少しチューンした感じ”というメッセージが伝わってくるインテリアに仕立てられていました。

⑤ とても楽しく運転しやすいコンパクトさと軽さ

“ハチロク”の特徴は、軽量でスポーティなFRクーペという点ですが、それはこの“エンジンコンバージョン車”にも当てはまると思いました。都内の路で扱い易く、また余裕もって走行できたクルマと上記しましたが、とても楽しく運転しやすいクルマでもありました。 それは、このコンバージョン車のエンジンチューンやクルマの味付けにもよるのでしょうが、もう一つ、“ハチロク”の基本特性が関係していると思いました。 コンパクトで軽量な“AE86のボディ”。全長4215mm・全幅1625mmというコンパクトさ、そして軽量さ(車両重量940kg)によって、基本的な運動性能ポテンシャルがある点が、乗りやすさや運転し易さにつながっていると感じました。

〔まとめ〕 ▽エンジンコンバージョンで蘇った“ハチロク”。パワトレが新しいゆえのクルマへの信頼感。 “ハチロク”を今後も残していくための一つの有効な方策と思われた ▽日本の路でとても扱い易く運転し易い“ハチロク(AE86)”の車体 ※〔AE86・初代86・GR86の主要諸元比較〕 (mm)(kg) 全長 全幅 全高 ホイールベース 車両重量 AE86 4215 1625 1335 2400 940 初代86 4240 1775 1300 2570 1190 GR86 4265 1775 1310 2575 1270 ▽“ハチロク”オーナーはもちろん、多くのクルマ好きに体験してほしいクルマ

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