【旧車試乗レポート】 1998年式チェイサー ツアラーV (5MT)
2025-03-26

【旧車試乗レポート】 1998年式チェイサー ツアラーV (5MT):『今でも面白い“マニュアルのツアラーV”』・『高性能上級サルーンとしての出来の良さ』
KINTOの旧車プロジェクト『Vintage Club』の一環としてレストアされたクルマ。今回は1996年にモデルチェンジ・発売された“6代目チェイサー”の高性能スポーツバージョン“ツアラーV”です。バブル期を中心に高い人気を博した“マークⅡ・チェイサー・クレスタ3車種”の中で最もスポーツイメージを前面に打ち出していたのがチェイサーですが、当時結構高い比率で選択されていたといわれる“5速マニュアルミッション車”がこの個体です。
豊田市内の高速道路・一般路を試乗して、約30年前の高性能4ドアスポーツセダンがどんなものだったのか?・・・走りや走り味を確かめてみました。
〔車両概要〕 チェイサー TRD スポーツ ツアラーV※ (JZX100)
〔主要諸元〕 ▽発売当初の車両についての諸元です
全長x全幅x全高・WB・車重:4715mmx1755mmx1400mm・2730mm・1480kg
1JZ-GTEエンジン:2491CC,280PS/6200rpm,38.5kgm/2400rpm,5MT
サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/ダブルウィッシュボーン
タイヤ:205/55R16, 225/50R16
〔レストア〕 トヨタ自動車株式会社/新明工業株式会社
※:TRDで架装・チューニングされたコンプリートカー
① 扱いやすく、パワー感・質感もたまらないストレート6“1JZ-GTEエンジン”

エンジンをかけ走り出した瞬間“とても静かでマナー良い上級車用エンジン”との印象。その後、前が空いてアクセルを踏み込むと“パワー/トルク感がすさまじく、伸びも素晴らしいスポーツエンジン”との感想。それだけで、このエンジンに心奪われました。 チェイサー・ツアラーVで、この6気筒エンジンが果たしている役割はとても大きく、“上級車らしい質感ある走行(1000rpm~2000rpm台)”と“スポーツセダンらしい迫力ある走行(3000rpm以上の領域)”の双方実現の重要な要素になっていると思いました。 出来の良いストレート6の見本のようなエンジンで、6気筒ターボならではのスムーズさ・伸びとトルキーさ・パワー感を併せ持ったパワートレーンと感じました。 1JZ-GTEには、以前同じVintage Clubの“70スープラ”で乗った経験があり、その時に『パワー感が素晴らしく速い!・・・だけでなく、その回り方や質感や音も、とてもワクドキ感あるものでとてもビックリ』・・・『ガソリンエンジン時代のピークだったのかもしれない』との思いを持ったのですが、今回のチェイサーに搭載されている1JZ-GTEは後期型で、シングルターボ化・可変バルブタイミング(VVT-i)により、更に“パワー感・回り方・質感・音”等が、スポーツ風味かつ上質になっていると感嘆し、『スポーツエンジンとしてピークたる存在かもしれない』との思いが浮かびました。

〔上:このクルマのキャラクターを決定づけている1JZ-GTEエンジン〕
② “スポーツ車らしい走り味”+“上級サルーンらしい走り味”。タイヤも一要因
この日の試乗は、豊田市のレストア場所“新明工業”から鞍ヶ池公園まで、一般路と高速道路で往復してくる全行程約40kmの走行でしたが、試乗を通して“パワー感・スポーツ車らしい走り味”と“上級サルーンらしい走り味”の両立が印象に残りました。 踏み込める場面でアクセルを踏み込むと、(上述したように)“パワー感あふれ迫力と伸びのあるスポーツフィール”が味わえ、車体・足回りやステアリングフィールもしっかり対応できている感じで、スポーツ車らしさが五感に伝わってくる感じがしました。 一方、3000rpm以下の領域でシフトアップ&ダウンし走行していると、快適な乗り心地で静かな環境に包まれ、しかも乗心地も適度にしなやかで高級車っぽい・・・という上級サルーンらしさが主たる感想でした。 オリジナルのクルマ自体やチューニングが、“上級サルーンベースのスポーツバージョン”として、そのコンセプトに忠実たるよう造られ味付けられている(=上級とスポーツのうまい両立)事が大きな要因でしょうが、レストアにあたっても、そのコンセプト・キャラクターを活かすよう作業されていること、また装着されたタイヤ(オリジナルよりも2インチアップサイズ:225/40R18のヨコハマADVAN APEX V601)のキャラクターも、スポーツ性能と上級車らしさを両立させる狙いと思われ、このクルマの走り味に寄与していると思われました。

③ 車体、足回りともに“剛性感”高く、安心して走行できるクルマ
このクルマのハイライトは、上述したように素晴らしいパワートレーン“1JZ-GTE”でしょうが、一方、クルマの“剛性感”も高く、スポーツセダンとして安心して速く走れる動質・味付け、またゆったり走っている時には、上級サルーンらしい快適さ・乗り易さで走行できました。 (サッシュレスの4ドアだからどうかなあ?と思って乗りましたが)、車体の剛性感は、今の基準でも充分通用するような感じがしましたし、足回りの剛性感(しっかりした踏ん張りと不整路面の乗り超え等)も、スポーツセダン&上級サルーンとして妥当なもので、車両全体としてハイパワーなエンジン性能に見合った剛性感・動質になっていると感じました。
④ 仕様・装備は約30年前のクルマだが、快適で乗り易く、上級サルーンらしいクルマ
このチェイサーは1998年式で、ヴィンテージ車と呼ぶには新しめのクルマですが、それでも今を基準にすると約30年前の商品で、そのため仕様・装備(特に安全やADAS関連等)は当時の基準での造りで、時代を感じさせる面もあります。 が、普通に走行している分には、快適で乗り易く、いかにも上級サルーンらしいクルマだなあ・・・と感じました。メーターや各種操作系等は、上級サルーンらしく、質感・扱いやすさ・見易さあるもので、また今の基準では車両サイズが手頃で(4715mmx1755mm)手の内感あふれる事も手伝い、自分の身体の延長線上にあるクルマとして扱える感覚がありました。

〔下:走り味に寄与していると思われるヨコハマADVAN APEX V601タイヤ〕

〔まとめ〕
▽『内燃機関スポーツエンジンのピーク?』たる“1JZ-GTE”エンジンの素晴らしさ
>~2000rpmでの上級エンジンらしさ+3000rpm~のスポーツエンジンらしさ
>出力・トルクだけでなく、回り方やサウンド等も素晴らしいフィール
>後期型“1JZ-GTE”のシングルターボ化・可変バルブタイミング化の効果実感
▽スポーツ車らしさと上級サルーンらしさを両立した走り味・乗り味
>交通の流れに乗って普通に走れば、とても安楽・快適な上級サルーン>スポーツ走行・通常走行ともに安心して対応できる車体・足回りの剛性感
>スポーツ車ならではの剛性感あふれる走り味・乗り味
▽後期型“1JZ-GTEエンジン”の素晴らしさを5速マニュアルで味わえ、
当時の流行りだった上級サルーン・スポーツ仕様ならではの価値を知ることができる一台。
当時乗っていた方々はもちろん、多くのクルマ好きに体験してほしいクルマ
今回試乗したチェイサーは、Vintage Club by KINTOの「特選旧車レンタカー」で実際にレンタルして試乗することができます。気になった方は、レンタルして体験してみましょう!

(注:実際のレンタル時は、ホイールのみ仕様が異なります。)
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