【試乗記】TE27レビン

2022-08-19

KINTOのハマやんによる試乗記。今回はTE27レビンに乗ったハマやん。『スパルタンなラリーカー』を 味わいながら『運転の基本を思い出す』存在だったようです。

KINTOの“旧車”プロジェクト『Vintage Club』でレストアされたクルマ。今回はあのTE27レビンです。名前を口にするだけでワクワクしますね。

著者:ハマやん
クルマ大好き、元トヨタの企画マン。公私合わせて1,800台以上のクルマに試乗。

27レビンの外観

〔外観〕太いタイヤを履かせるためのオーバーフェンダーと砲弾型フェンダーミラーが堪りませんね!
〔車両概要〕1974年式(昭和49年1月初度登録)・走行69,600km
〔参考:主要諸元〕
全長x全幅x全高・WB・車重;3995mmx1595mmx1335mm・2335mm・855kg
18R-Gエンジン;1968CC,145PS/6400rpm,18.0kg・m/5200rpm(JISグロス値)
サスペンション前/後;ストラット/リーフリジッド,タイヤ;175/70R13サイズ
〔レストア〕新明工業株式会社
〔レストア時・主な改造項目〕
・195/50R15タイヤ&ホイール
・(エンジン)ファンネル・タコ足マニホールド装備
・社外マフラー
・アルミラジエーター
・クーラー
・LEDヘッドライト
・ウッドステアリング

27レビンのエンジンルーム

①『軽い!固い!速いがやかましい!』。僅かな距離でわかる基本キャラクター

先日試乗のセリカより更にコンパクトな27レビン。新明工業のパーキングに、こぢんまりと停まっていました。『小さいなあ!』・・・全長4M・全幅1.6Mとスペックで知っているはずなのに、現物を目の前にするとそのコンパクトさに改めて驚かされました。

『こんな小さなやつに2T-G積んだら速いよね。』乗る前から、そのキャラクターが強烈に伝わってきます。

ソレックスツインなので慎重にエンジンスタートしましたが、何も変わった事は起こらず、ごく普通に始動できました。(試乗の間中、ずっと調子よく殆ど気遣う必要はありませんでした)

カチッとした手応えのシフトを1速に入れ慎重にスタート。国道に出るまでの僅か100M位の間でその乗り味が強烈に伝わってきました。・・・『軽い!固い!速いがやかましい!』その3語に尽きる感じがしました。

>車検証重量は850kg(前500kg・後350kg)しかなく、(調べると今のクルマではダイハツムーヴが820-870kgとありました)、クルマの動きの一つ一つがとにかく身軽なこと(時々勝手に左右に少し動いたりするので気が抜けない点もあり)。

>前ストラット・後リーフリジッド!のサスペンションは相応に固められており、路面の凸凹や不整を、『これでもかっ!』というほど、忠実に伝えてくること(相当揺さぶられます)。

>軽い車体に乗せた115馬力2T-Gエンジンと5速MTのおかげで、適切なギアを選んで踏めば、ドンと前に進んでいくことは良いが、とにかく『音がやかましい』。また、走行中、路面から撥ねられた砂・石がフロアに当たる音もずっと聞こえてきて、まるでラリー車に乗っているようでした。

27レビンのエンジンルーム

『軽い!固い!速いがやかましい!』=『軽量でスパルタンなスポーツ車』だということは、僅かな走行でも、いやというほど伝わってきました。



②ステアリング操作が『おっ重い!』。しかし、昔は皆こうだったんだね。 『運転の基本を思い出す』存在

レストアした昔の名車を試乗して皆さんにその走り味をお伝えする。そのための試乗レポートなので、色々な場所を走ります。

街中の交差点での左折。高速道路スマートIC出口にあるラウンドアバウト。写真撮影のために立ち寄った駐車場・・・。『曲がる』場面にくると、そのステアリングの重さを意識せざるを得ません。回そうとするとグーっと反力が伝わってくる重さで、現代の軽いステアリングに慣れてしまっている身体には結構響きます。 (調べてみると、レビンは普通のカローラよりもギア比を変更してクイックなステアリングになっているらしい。それも要因なのですね)

しかし、もう少し考えてみると、『昔は皆こうだった・・・つまり、ノンパワステのクルマは、両手でしっかりステアリングを握って操作し、据え切り等はもってのほか』だったわけで、それは、『運転の基本』でもあると思います。

しかし、常にその操舵力・保舵力の重さは相当でした。『スパルタン』ですね。

③絶対的な軽さは本当に素晴らしい

第一印象で『軽い!固い!速いがやかましい!』と表現したように、とても軽量なクルマです。以前、車検の代車で10数年前のスプリンターに乗った際、1トン以下のクルマで、その加速や身動きの良さに驚いた体験をしたのですが、この27レビンはそんなレベルではなく、『絶対的な軽さは本当に素晴らしい』と痛感しました。

軽さゆえの速さは当然あるのですが、(ステアリングの重さはあるが)舵を動かした際のクルマのレスポンス、駆動力を掛けたり離したりした際のクルマのレスポンス、ブレーキかけた際のクルマのレスポンス・・・要するに、『クルマが運転者の意思に呼応して敏感に動く』ことが感動的でした。

『やっぱり軽さは重要だなあ。動く物体なんだから』と、(今のクルマが安全構造や機能や様々な装備や色々で軽く出来にくい事は理解しつつも)改めて思ってしまうのでした。

昔話ですが、70年代のクルマはとても軽く、850kgと軽量な27レビンですが、これでも当時のランサーGSR(調べると825kgとありました)より重く、ラリーに傾倒していた大学自動車部員だった我々は、『TE27?いいけどランサーより重いでしょ?』とか、わかったような事を話していたものでした。 (ラリーかぶれの部員は、車高の高さと車重の軽さの話題には敏感だった)

トヨタセリカリフトバック2000GTの後ろ姿

④快適性や便利機能は二の次 それが何か?

カローラクーペをベースにしたTE27レビン。色々な装備もカローラに準ずるものになっています。(確か、ラジオと何かはオプションだったような記憶があります)

インパネ中央に配置された電流計・油温計・油圧計やフットレストは、スポーツ車レビンらしい装備として装着されるものの、快適性や便利機能(例えばパワーウィンドウ)は省略されており、走りに関係ないものは何もついていないクルマなのですが、それもTE27レビンらしいといえば、らしく、『快適性や便利機能は二の次。それが何か?』 と言われているような気がしました。

トヨタセリカリフトバック2000GTの後ろ姿

⑤一芸に秀でたクルマの存在感を感じさせる

走りに関係ないものは何もついていない『走りに徹したクルマ』、TE27レビンですが、ある意味『一芸に秀でたクルマ』らしさに溢れている商品と言えるように思います。

『一芸に秀でたクルマ』とは、私が色々なクルマに乗ってレポートする中で思いついた台詞ですが、要は『ある商品要素で、とんでもなく抜きんでたものを持っているクルマ』という意味で、トヨタ車で例を挙げれば、ランドクルーザー・初代プリウスや初代クラウン・2000GT・トヨダAA型など、その時代・そのマーケットで、とんでもなく抜きんでたものを持っているクルマがそれに当ると思います。

TE27レビンは、カローラの1バリエーションではありますが、その抜きんでた走り『軽い!固い!速いがやかましい!』により、『一芸に秀でたクルマ』足りえていると思われ、存在感はとても高いものがあります。(今でも、日本の名車をリストアップすると、必ずといって良いほど入ってくるクルマ。それが27レビンの存在感の高さを証明する証拠ではないでしょうか?)。

トヨタセリカリフトバック2000GTのメーターパネル

▽ラリーの運営・参加に明け暮れた大学自動車部時代を思い出させてくれました

TE27は、モータースポーツと切っても切れない関係のクルマで、今みても『スパルタンなラリー車』然としていますが、実際にラリー車として輝かしい歴史を持っています。

>トヨタに初のWRC戦優勝(1975年1000湖ラリー)をもたらしたクルマ
>昔の国内ラリー選手権を席巻したクルマ(資料には参加車の半数以上がTE27だったとの記述もありました)

TE27は、コンパクトな車体に高出力エンジンを搭載する理想的なスポーツマシン・ラリーカーで、その昔、大学の自動車部に在籍していた頃、『ラリー大好きな部員が多かった』我が部での『乗りたいクルマナンバーワン』は断トツでこれでした。

学生にとって手の出る価格のクルマではなく、また我々の学生時代(1975年~79年)には、既に新車はなくなっていたこともあって、結局、憧れは憧れのままでしかありませんでした。

その憧れのクルマに今乗れる。それは、とても素晴らしい経験となりました。

トヨタセリカリフトバック2000GTを前から眺める

▽『旧車に乗る』。それは『感性刺激活動』とも言えそうです。

旧車に乗るたびに、『旧車の魅力って何だろう』と考えてきましたが、今回のTE27レビンでも一つ発見がありました。

この日は、70スープラと27レビンの2台に試乗させていただき、乗っていった自分のクルマ(LEXUS UX)に乗換え『今のクルマって何て素晴らしいんでしょ。良く出来ているね!』と思っていたのですが、オフィスに戻って、旧車レポートを考え始めると、頭の中に『次から次へと言葉が湧いてきて』少しびっくりさせられました。

作文の苦手な自分は文章を考えるのが億劫で仕方ないのですが(このレポートはクルマに関する事なので書けているだけ)、この日は、本当に驚くほど言葉や文章が出てきました。

思うに、『旧車の運転=日常的な運転とは異なる体験』によって、『自分の感性が刺激されているのではないか?』 そんな風に感じられます。(試乗で、事前に思っていたよりも大きく期待値を上回った場合や、サーキット走行のあと等でも、同様の体験をする場合があります)

特に、このTE27レビンのように、運転操作自体や運転操作に対するクルマの反応が 今のクルマとは大きく違っている場合は、感性に対する刺激度合いもより高くなるのではないか?という気がしました。 (感性刺激活動にピッタリなクルマ。それがTE27レビンと思われました)

トヨタセリカリフトバック2000GTを後ろから眺める